ホームズの依頼人であったヴァイオレットは事件後神戸で遭遇する事件を解決していく。話が展開する中で、ハドソン夫人、グレースなど本編登場人物の過去が徐々に明らかになる。

THE FAR EAST 12
ミルバートン文書(5)

 D伯爵邸の強盗事件があってから10日ほどたったある日、シャーロック・ホームズは、レストレード警部をベーカー街の自室に迎えていた。
 「アームストロング社によると、メアリ夫人は、日本がイタリアの造船所から買い付けた軍艦の回航に際して、重要な手紙の輸送を依頼していたようです。」
「それはまた、厳重な警戒をしている手紙だな。よっぽど重要な手紙だったんだろう。ところであて先は?」
「日本の神戸に住むヴァイオレット・ド・メルヴィル嬢です。」
ホームズは飲みかけていたコーヒーをこぼしそうになった。突然の意外な展開に驚いたが、レストレード警部に悟られまいと平静を装った。
「どういう関係なんだろう。そんな大事な手紙を送るなんて。」
「いったん盗まれて庭に捨てられてあった手紙の内容によると、どうやら夫人の妹のようです。」
ホームズは再び必死に動揺を隠した。
「よくそこまで調べたね。素晴らしいよ。レストレード君。」
「輸送を請け負った社員は、軍艦がカイロで停泊し、休日で上陸中、何者かに射殺され所持品を奪われました。ところが、メアリ夫人からのヴァイオレット嬢にあてたごく普通の手紙を所持品はすべて死体のそばに捨ててあったのです。」
「犯人が必要なものがなかった?」
「どうやらそのようです。」
「第二に、メアリ夫人が手紙を託したのは、カナダ在住のイギリス軍人、スペンス・マンロー大佐で、イギリス海軍の軍艦でカナダのハリファックスに向かいましたが、上陸後、何者かに拉致されすべての荷物を奪われました。3日後すべての荷物が散乱して、路上に捨てられているのが発見されました。ヴァイオレット嬢にあてた手紙も無事発見されました。どうやら、順番として、カイロでもハリファックスでも狙いのものが見つからなかったので、いよいよD伯爵邸に侵入し、家捜ししたあとさらに、次の行方の情報になるものを物色したようです。」
「そんな厳重な輸送を依頼したのに、何気ない手紙だったということは、おとりだったということかな?」「そのようですが、イギリスから日本に向けて、重要なものを発送するとすれば、東回りと西回りしかありませんが、他にルートがあるのでしょうか。」
「ロシア経由でシベリア鉄道はどうだね。」
「もっとも危険です。ロシアと緊張関係のあるイギリスと日本の間の手紙なんて検閲されるのが当然で、場合によっては没収も考えられます。」
「そうかな、日本には、『虎穴に入らずんば虎子を得ず』ということわざがあるそうだが……。」


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47よっちゃん28 | URL | 2007/11/25/Sun 20:18[EDIT]
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